· 

模試の楽しみ

 今朝の愛媛新聞に、県立高校の入試問題と解答が掲載されていた。受験に良い思い出は何一つないが、高校時代の楽しみは国語の模試だったことを思い出した。

 不真面目な受験生だったので、もちろん模試そのものが好きだったわけではない。だが、国語の教科だけは例外で、評論・小説・古文・漢文とある中の、小説との出会いを心待ちにしていた。一部分の出題から前後を想像し、心惹かれる文章は持ち帰った問題用紙を大切に保存した。

 鷺沢萠、村上春樹を読むきっかけとなり、庄野潤三、三浦哲郎は大学進学後に全集にも挑戦した。確か鷺沢萠は「川べりの道」、庄野潤三は「プールサイド小景」だったと思う。三浦哲郎の題名は覚えていないが、その後読んだ「白夜を旅する人々」は印象深い。短編集モザイクは、現在ビブリオAAの蔵書にもある。

 今思えば、自分ひとりでは手に取らない小説と出会う時間だった。半ば強制的な出会いは、苦手な模試の中での唯一の楽しみ。そんな楽しみ方をしている人はいないだろうと思いながら、学生時代を懐かしく思い出している。