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「平等」と「不平等」

何をどう考えるかによるけれど、人にとって境遇の不平等は紛れもなく存在すると思う。世の中には理不尽だと思うことも多い。
そして、例えば身体に障害がある故の困難や、根拠のない理不尽な差別など、人が生まれながらに持つ明らかな不平等は、必ず是正されるべきだと思う。人には平等に幸せになる権利がある。

例えば、学びの機会は誰にでも等しくあるべきだ。図書館から近い人にも遠い人にも、年齢関係なくいくつになっても、身体に障害を持っている人(正しくは生きていく上で障害がある人)にも、学校に行かない子どもたちにも。

私にとって図書館は、人が持つ境遇の不平等を、解消してくれる施設であってほしい。無料で利用できることはもちろん、学校のやり方じゃなくても学ぶことができる。あなたはあなたのままで、学び楽しみ生きることができる。ネットの普及で言えば地域差も今やないに等しいが、ネットが使えない人だっている。逆にデジタルだと学ぶことができる人がいる。常に社会的弱者の視点にたち世の中を見て欲しい。

皆が大きな夢を持っているわけじゃない。だけど、明日が少し楽しみになるような、生きていることがうれしいような、そんな日々であってほしい。私はそれを、本や知識、情報の力で応援したい。それが、公共図書館で働いてきた私であり、その私がやっている活動が「いよ本プロジェクト」。

小さな小さな活動であるが、目の前の人、一人ひとりに向き合いたい。画一的なことを等しく行う「平等」ではなく、人が「平等」に幸せになるための「不平等」なことをやっていきたい。人にはきちんと「顔」がある。人にはきちんと「声」がある。その人の「顔」を見たい。その人の「声」を聞きたい。時には「声」にできない「声」に気づきたい。

私たちは一人ひとり、豊かな人生を持っている。