香川県にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館を訪れました。
昨年開館30周年を迎えた、Marugame Genichiro-Inokuma Museum of Contebporary Art、愛称MIMOCA(ミモカ)。
個人的に良いなと感じたのは、子供たちの気配でした。親子連れで絵を眺めていたり、オブジェで遊んでいたり、静まり返っておらず、子どもの声が聞こえ、伸び伸びと遊ぶ姿が見える美術館は心地が良いと思いました。
その他にも感じたことはありますが、無料配布されていた記念冊子『MIMOCA開館30周年 どこにもない美術館を目指して』を帰宅後に読むと、この美術館の思いを改めて知ることができました。
「子どもたちを大切にする美術館」は MIMOCAの柱の一つである
猪熊弦一郎は美術館の設計や運営に子どもたちへの配慮を強く希望したそうです。
表現や創作の楽しさを伝えたいと行われているワークショップ。誰でも無料で利用(閲覧)できる美術図書室。美術館前の広場や三階カフェ前の広場にあるオブジェにも、親しみを持って欲しいと描かれた建物正面の壁画にも、子どもたちのことが考えられていました。
ちなみに観覧料は、高校生以下は無料です。愛媛県にも18歳以下無料の美術館がありますが、MIMOCAが当初から小学生以下無料、約4年後に高校生以下無料としたことは、当時全国的にも珍しいことだったそうです。
職員の方と話をする中で「子どもたちに本物を」という言葉がありました。感性は人それぞれですが、子どもたちが人との比較ではなく、自分の価値観を大切にしたり、流行や上辺に惑わされない審美眼を培ったりする。そんな空間なのかもしれません。
この美術館があることで、楽しむこと、育むこと、学ぶことが守られる。大切にされた経験は、満たされてまた次の何かを満たしていくとも思います。
子どもを大切にする美術館。
何度も訪れたいと思う美術館でした。
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