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おこりじぞう

 松山市にある「おこり地蔵」をご存じですか?

 原爆投下後の広島で、西山ミサヲさんが、がれきの山に埋もれていたお地蔵さまを持ち帰りました。そのままにしておくには忍びないと。そうして集まった7体のうち1体のみ顔がなく、石屋に頼んで付けた顔はおこっているようだったそうです。


 その後、ある縁があり、おこり地蔵は瀬戸内海を渡り、現在は松山市御幸にある龍仙院に安置されています。

 児童文学者の山口勇子さんが、このお話を童話にしました。そして、それを語り続けたのが俳優の沼田曜一さん、絵本にしたのが画家の四国五郎さんです。


 さまざまな形で伝えられている「おこり地蔵」。「えひめ紙芝居おはなし会」の会員丸山康子さんも「おこり地蔵」に出会い、読み聞かせを続けてきました。毎年7月26日の松山空襲の日に合わせて行われる平和資料展にて、戦争を主題としたおはなしかいを行ってきました。

 

 昨年は残念ながらコロナのために中止となりましたが、今年は形を変えて、松山市南吉田町の市指定有形文化財「掩体壕(えんたいごう)」を見学したり、松山空襲を体験した語り部による講和を聞いたりする会が行われ、丸山さんの「おこり地蔵」もここで語られました。

 「今は戦争の絵本や本もたくさん出版されている。一年に一回でもいい、それらに触れて戦争を考えるきっかけになればいい」「参加者が多い少ないにかかわらず、これは続けていくべきこと」丸山さんの言葉に、心から賛同します。

 龍仙院にある「おこり地蔵」は、建物の中ではなく誰もが拝める場所に安置されているそうです。

 


★私設図書館ビブリオAA、本日18日は14時から開館しております。次回は22日(日曜日)14時から。