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図書館のおはなしかい

 伊予市立図書館でおはなしかいボランティアを始めて、7年目になる。いよ本プロジェクトのイベントと重なることもあるが、子どもたちに会いたくて、可能な限り今も参加している。

 しかし、今月読む絵本も決めたところに、コロナ禍で8月開催の中止連絡が入った。残念ではあるが、致し方ない。

 司書業務の一環として「おはなしかい」に参加していた期間、退職して再びボランティアに戻った頃、古い建物での絨毯敷きの部屋でのおはなしかい、新しい図書館でのピカピカのおはなしかい、それぞれに思い出がある。

 季節や行事によって、読む絵本を考えたり、小道具を用意したり、小さな小さな「おはなしかい」ではあるが、ひとつひとつを重ねてきた。

 この毎月第2土曜日の図書館の「おはなしかい」は、対象年齢がない。毎回ボランティアは数冊の絵本や紙芝居を用意する。そして集まってくれた子どもたちの年齢を見て、どの絵本にするかを選び、順番を決める。絵本、紙芝居、パネルシアター、あすなろピッコロさんによる「腹話術」と、盛りだくさんの1時間。時には最中に順番を変えることもあった。

 おはなしボランティア7年目の私は、実を言うとまだまだひよっこだ。ボランティアグループのベテランお二人はもう10年以上も続けており、いつも細やかに調整して下さる。

 えっちらおっちらと、その下で何とか奮闘している私。その温かい見守りがあるからこそ、安心して挑戦も失敗もできるといつも思う。恥ずかしながら経験を積んでも上手くいかないことも多い。今でも覚えているが、雪の降る中、駐車場で反省会をしたこともある。それも、大切な思い出のひとつ。

 おはなしかいを続けてきて、ありがたいことに町で声をかけられることも増えた。「また、おはなしかいを楽しみにしてますよ」と、うれしい声を頂く。

 ひとつひとつ、積み重ねてきたもの。子どもたちの瞳、親御さんの拍手、ボランティア仲間の愛情、市職員さんのサポート。当たり前のように感じていたものは、無くなってから初めて気がつくものか。

 ボランティアをしているようで、何かをもらっているのはこちら。

 コップに注がれた愛情や優しさや楽しさがあふれる。そのあふれたもので、私はいつも前を向いているのかもしれない。

 コロナの状況は予断を許さないが、一日も早い再開・再会を心待ちにしている。