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セミたちの夏 

 夏休みに入りました。セミの声が一段と大きく聞こえるような気がします。

 我が家にはセミが大好きな桜の木がありますので、そこで鳴いているのでしょうか。

 今年こそは羽化の瞬間を見たいと子どもたちと話していますが、果たして巡り合えるかどうか。

 

 小学館の図鑑NEOの科学絵本『セミたちの夏』筒井学(写真と文)小学館 をめくってみます。

 生き物の一つの生態とはいえ、幼虫は6年間を地中で過ごし、成虫が生きていられるのはわずか2週間ばかりというセミを、思わず応援したくなってしまいます。 


 私が子どもの頃は、夏休みになると、家から車で約30分ほどかかる母方の祖父母の家に泊まりに行きました。母は5人兄弟で、いとこが全員揃うと、なんと10人。

 みんなで祖母が育てたスイカを食べたことを思い出します。慣れない土地、いとこ以外の見知らぬ子どもたちとのラジオ体操の居心地が悪かったこと。

 斜面地に立つ祖父母の家、さらに坂道を登っていくと、海を見下ろせる大きな公園がありました。桜の大木が多く、模様かと思うほどのたくさんのセミが幹にとまり、大音響で迎えてくれました。あの公園の名がなんという公園だったのか、思い出すことができません。

 

 いつも公園についてきてくれた祖母が亡くなったのは20年ほど前。祖父はそれ以前に亡くなり、今は伯母が住む町です。なかなか訪問することもなくなりましたが、またあの公園を訪れてみたいと、セミの声を聞きながら思いました。

 あの頃よりはるかに衰えた足腰で急斜面を上ったら、今でもセミは、大合唱で鳴いているような気がします。



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