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36年前の新聞の切り抜き『中村草田男集』

 伊予市立図書館にあるリサイクル棚を何気なく見ていたら、1冊の本が目に留まりました。朝日文庫『現代俳句の世界 6 中村草田男集』

 図書館の蔵書印も無く、除籍印も無いままリサイクルシールが貼られ、リサイクル棚にあるということは、市民の方から寄贈された後、蔵書として登録されずにリサイクル棚に置かれたのでしょうか。

 本が図書館に寄贈され役立つこと、また、諸事情により登録されずとも、すぐに廃棄するのではなく、リサイクル棚から再び市民に貰い手を呼び掛けること、とても良い仕組みだと思います。

 

 私たちも古本交換会を行っていますが、自分の元では役目を終えたとしても、誰かにしたら楽しみとなる本かもしれませんよね。

 

 中村草田男といえば、松山の人。確か、絵本作家加古里子(かこさとし)とも関係があったはず、と、記憶を紐解きながら、『現代俳句の世界 6 中村草田男集』をありがたく持ち帰りました。

 

 何やら違和感に気が付いたのは、帰宅してページをめくっていた時です。最後のページに何かが折りたたまれているような。そこには、もうかなり色あせてはいますが、26㎝×30㎝の愛媛新聞の切り抜きが、丁寧に6つに折られて文庫サイズに収まっていました。

 その記事の内容は、松山市立子規記念博物館で開かれた「中村草田男と石田波郷展」記念講演の要旨でした。新聞に日付の部分はありませんが、検索してみると、この展示会の図録は昭和60年に刊行されているようです。そしてこの本の発行は昭和59年5月20日。

 もしかしたら、子規記念博物館で開催された展示会・講演会に足を運び、感銘を受け、そこで中村草田男句集の手軽な最新刊を購入されたのかもしれませんね。今からおよそ36年前の出来事を、あれやこれやと推測してしまいました。

 この本がどういう経緯で市立図書館に寄せられたのか、もちろん知る由もありません。ですが、展示会の記念講演要旨と共にある文庫本が、何だかとても愛おしく、図書館のリサイクル棚から良い本を頂いたと、素晴らしい仕組みに感謝しています。

 中村草田男集。これからは、私設図書館ビブリオAAの一角で、新たな出会いがありますように。36年前の新聞記事と共にお待ちしています。

 ビブリオAA、本日23日(水曜日)は14時から18時まで開館しています。次回の開館日は変則となります。6月30日(水曜日)17時から19時まで。