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眼聴耳視ーお菓子屋さんの青い窓よりー

「眼聴耳視」という言葉をご存じでしょうか? 

「真に大切なものは目で聞くしかなく、耳で見るほかはない」という意味をこめて、陶芸家の河井寛次郎が好んで使っていた言葉だそうです。

 私はこの言葉を、「青い窓」の会が発行している『遠くへ行かないでお母さん』という詩集で知りました。解説を書いている佐藤浩さんは、作文と詩の違いを聞かれたとき、「眼聴耳視」という言葉を用いて「目で見たら作文、耳で聞いてはじめてそれは詩である」と答えたのだそうです。

 人が持つ感動する力とは、何とも豊かで深いものだと感心します。目からも聴くことができる。耳からも視ることができる。そこには自身の経験も複雑に絡み合っているのでしょう。単純な図式ではなく、AIでは真似のできない、その人ならではの経験の重なりも豊かに作用しているような気がします。一人一人違う、人間の可能性や面白さを感じます。

 福島県郡山市にあるお菓子屋「柏屋」さん。そのウィンドーには毎月一篇の子どもの詩が飾られます。それは「青い窓」と呼ばれており、同名の詩紙(リーフレット)は現在592号が発行されています。昭和33年から始まったその活動は、なんと60年を超えました。

 ひょんなことから知ったこの素敵なお菓子屋さん。いつか訪ねて行きたいと思っています。詳しく知りたい方は、こちらのホームページもご覧ください。https://www.aoimado.jp/ 『詩集 遠くへいかないでお母さん』は、ビブリオAAでも読むことができます。
 『遠くへいかないでお母さん』「青い窓」の会編 佐藤浩解説 ぱるす出版 ISBN 4827601798