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近況報告、紙面にて

 先日、長年参加している会より、定期便の封書が届きました。通常であれば今後の予定や簡単なスタッフ雑感で終わるのですが、今回は封筒の厚みがあり、いつもと様子が違います。封を開けると、数枚のA4用紙に会員の近況報告が綴られていました。そういえば、コロナ禍で集まりが中止となっているため、紙面での声を募集していたと思い出しました。

 確かこの締め切りはいつだったかと、自分の迂闊さに呆れながらも読み進めていきます。一言もあれば長文もあり、長さも文体も人それぞれ。白梅やイソヒヨドリの話題から、今の気持ちや置かれている状況まで、20名弱の声はさまざまに自分を表現しています。お名前から顔を思い浮かべながら、ペンネームの方はどんな人だろうと想像しながら、ひとつひとつを目で追いました。

 このご時世であれば、オンラインでの集まりも可能です。SNSでのグループチャットも便利な機能だと思います。ただ、私はこの近況報告をめくりながら、何とも言えない幸せな気持ちになりました。オンラインにしろ、紙にしろ、それぞれの特徴があるものだと思いました。手書きではない、ただの印刷用紙に過ぎないと言われればそれまでですが、言葉があり、質感があり、私は大切に持っておきたいと丁寧に封筒に戻しました。

 何となく感じる人の気配やぬくもりは、単に読み手の私がつながりを求めているからかもしれません。これまでを共にした年月が、そうさせているのかもしれません。しかし、後日、この近況報告を思い出すならば、封書を開ける気持ちや紙をめくる音、春休みに入った傍らの子どもの気配などを含めた今があるような気がします。