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本を片手に博物館へ

 愛媛県生涯学習センター内にある愛媛人物博物館の冬季企画展「白鷹幸伯~鐡に千年の命を吹き込んだ鍛冶師~」を鑑賞してきました。

 千年釘。薬師寺西塔再建用の白鳳型和釘の復元と約7,000本鍛造の仕事により、その名を知られることになった白鷹幸伯。その和釘鍛造の条件は、薬師寺創建当時の西暦680年頃の鐵に限りなく近い材料を使い、その時代の製造法に限りなく近い方法を用い、さらに1000年の耐久性を兼ね備える、という大変厳しいものでした。

 松山市に生まれ、刃物専門店「木屋」社員時代を経て、故郷で鍛冶屋を継いだ白鷹。彼が生み出した和釘や鎹は、松山城本丸、一ノ門の修復や、山口県岩国市にある錦帯橋の架け替え、大洲城の復元などにも使われています。

  鍛冶師の展示ですから、写真や説明パネルの他に大量の刃物が整然と並べられています。もちろんそれらも大変印象的ですが、白鷹が息子の作業を見守る姿をとらえた写真、師である西岡常一の書の美しさも心に残りました。

 いよ本プロジェクト私設図書館ビブリオAAにも、白鷹幸伯について書かれた本があります。『藤森昭信、素材の旅』 藤森昭信著 新建築社。表紙カバーの作りも美しいこの本。184ページから書かれている「千年釘」も合わせてご覧ください。
愛媛人物博物館では、令和3年3月14日まで企画展が開催されています。https://www.i-manabi.jp/topics/?p=25336