· 

受け止められた気持ち

「読書はずっと個人的なものだと思っていた。本の話を人とすることはなかった。だけど、いよ本プロジェクトでは人と共有することができてとても楽しい。読書にこんな楽しみ方があったのですね。」

 

いよ本プロジェクトを続けていて、よくこんな感想をもらいます。そう言われる度に、心から、いよ本プロジェクトを続けていて良かったと思います。

 

読書は確かに個人的な行為です。おはなしかいや朗読会を別にすれば、読む時も一人。そして、心で感じる時は、周りに大勢の人がいようと、当然一人です。

 

もちろん、それでかまいません。無理にそれらを人と共有する必要は一つもありません。人の評価で自分の感想を支えるわけでもなく、誰かに聞いてもらうために本を読むわけでもない。

 

だけど、そんな気持ちを語る場があれば、それを受け止めてもらえる場があれば、その気持ちはより一層、大切にされる。もしかしたら一瞬で消えてしまうものが、しっかりと心に碇を下ろすかもしれません。

 

自分の中にあるもやもやとした思いを、人が聞いてくれることで言語化できることがあります。自分一人で考えていたことを、人に話すことで更に深めることがあります。思いが確信に変わることもあれば、気づきを得ることもある。違う角度で考え直すこともあります。

 

 

いよ本プロジェクトでは、交流会の持ち寄り本紹介で、本に対する感想や気持ちを語ります。古本交換会や私設図書館ビブリオAAでも、本を通して会話が生まれます。『いよし百冊物語』は冊子という媒体ですが、感想を共有する場面を多く設けました。また、私が知らないところでも、きっと誰かが何かを共有している冊子だと思います。

 

自分の言葉を誰かが受け止めてくれることによって、自分の何かが変わる。

 

いよ本プロジェクトでは、人の考えや気持ちを否定する場所ではありません。誰が何を語ってもいい。自分に自信を持って、自分の想いを話すことができる場所です。

 

もちろん、このような場所はたくさんあると思いますが、本に救われた私は、本をとおしてそんな場所を作りたい。

 

本と人がつながる。本をとおして人と人がつながる。

つながるとは、単に知り合いになるというわけではなく、もう二度と会うことがなくても、その人の頷きに支えられたり、その人にもらった感想で小さな一歩が生まれる。

 

気持ちを受け止めてもらうこと。それが、つながることではないかと思います。

 

そんな思いで活動を続けています。

 


 

★私設図書館ビブリオAA、次回の開館日は3月5日(火曜日)です。14時から18時まで。