道具が語る。そこに歴史があり、そこに人がいる。
昨日は、伊予市双海の若松進一さんにお会いしました。「ふね(船・舟)」をテーマにブックトークを考えていたところ、『舟をつくる』関口吉晴(監修・写真)前田次郎(文)徳間書店という1冊の本に出会いました。
舟を一から作るのか。すごい。そして、あれ、確か愛媛県伊予市の双海にも丸木舟があったはずと、若松さんを思い出したのです。
かつて、長さ10m、直径1.6mのアラスカ産モミの木を4か月かけてくり抜き、丸木舟を完成させた「21世紀えひめニューフロンティアグループ」、その代表が若松進一さんです。
(写真はその丸木舟の一部です。)
もちろんただ造るだけでなく、松山から中島大浦港を経由して由利島へ、メンバーで40キロを漕いで無事に運びました。その年の夏のキャンプにて、その丸木舟で子どもたちに無人島探検をさせることが目的だったのです。
動力のない丸木舟。水産高校出身の若松さんが後方で舵を取りながら、櫂で漕ぎ40キロを2日かけて航海する。「古代人はこういうことをしていたのか。」ご自宅にある舟の博物館「海舟館」で、当時の航海の思い出を若松さんは語ります。
それは110年ほど前まで。かつては潮や風など、自然現象で舟を動かしていた時代がありました。海図もなく、星を読み、潮の満ち引きや旧暦を頼りにする。
舟底の板一枚の下は海です。あらゆる自然現象から兆候を読み取り、身の安全を保っていたのでしょう。自然への畏敬が信仰(宗教)であったことがよくわかります。語り部である若松さんの言葉と、和舟の模型がそれらを示します。
道具が語る。そこに歴史があり、そこに人が生きている。
大変興味深いお話をありがとうございました。これを活かして、子どもたちへのブックトークができたらと思います。
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