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上へ上へと伸びる春

日光を受けるために横に広がるロゼットという形。

 

 ビブリオ前の花畑や道端にある野草を見ると、いよいよ春がきたと感じる。

 冬の間は写真のようなロゼットの形が目立つ。太陽の光を受けるために、横へ横へと広がる。葉が重ならないように平べったく、背丈は低い。

 

 対して春が来ると、上へ上へと生長するカラスノエンドウや、ホトケノザが目立ってくる。ふわふわとした柔らかさを感じながら、一気に伸びる背丈には目を見張る。

 春の本気を見せられたような気がする。

 

 毎年、春の到来を感じる一番の瞬間は、植物の形の違いに気が付いた時かもしれない。

 

 愛媛では著しい減少は見られないが、コロナ第6派も減少傾向にある。これまでにない年明けの増加数には驚きながらも、対策を講じながら日々を送ってきた。

 第6派の先がようやく見えたかと思えば、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。

 ビブリオ内個人文庫にもある『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬著(早川書房)が、今、読まれているという。1942年の独ソ戦の最中、家族を殺され復讐を誓い、狙撃兵となった少女から見た戦闘の物語。

 コサック、カザフ人、そしてウクライナ。それぞれの少女たちの背景。戦闘下の悲惨な状況の数々。最後に明らかになる敵。戦時下での女性の扱い。何度も手を止めながら私も読み進めた。小説としては大変面白いのだが、状況を想像するといたたまれないのだ。


 そして、今朝もテレビや新聞はウクライナの現状を伝えている。戦争は今、行われている。

 

 一刻も早く、平和が訪れることを願っている。人には一人ひとりの顔がある。人生がある。一人ひとりが、安心して生きることができる世の中に。

 春の野草のように空を見上げながら、続く国へと祈っている。冬の野草のように地に伸ばしながら、自分ができることを考えている。


★3月12日(土曜日)は、古本交換会です。詳しくはこちらをご覧ください。

 

★次回の開館日は3月13日(日曜日)14時から18時まで。13時からは「ひたすら読書会」です。私設図書館ビブリオAAにつきましては、こちらをご覧下さい。