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本を重さで表す

 一昨日、松山市立図書館に本を借りに行った。

貸出冊数は一人一回10冊。2週間で10冊を読み切るには、1日1冊のペースで読み進めて行かねばならないので、松山市立図書館を利用する際には、大抵の場合は薄物の冊子を選ぶことにしている。分厚い本は、近場の伊予市立図書館で借りればよい。

 

 今回は、どうしても借りたい本があり、B4版、200ページ近くの大型本で、これ1冊だけでも重量感たっぷりなのだが、どうせならということで調子に乗って残り9冊も分厚い本ばかりを選んでしまった。

 借りた本をトートバッグに詰める。大き目のトートバッグを携帯しておいて良かった。いつも愛用している折り畳み式の買物袋では、到底入りきらないところだった。

 パンパンにはなったが、借りた本はトートバッグにきっちり収まった。しかし、持ち上げてみるとやたら重い。持ち紐も運搬中にちぎれてしまいそうだ。指や腕に遠慮なく紐が食い込み、紐がちぎれなくても肉がちぎれそうで、駐車場までの移動の間、大量借り出ししたことをひどく後悔した。

 

 帰宅後、さっそく借りた本を繙く。と、その前に、借りた本の総重量がどうしても気になったので、本の体重測定をする。

 

 総重量9.4kg。おそらく、私の人生の中で借出重量としては最大だ。

 

 しかし、この数字を果たして「重い」と見るべきか?パンフ採集を趣味としている私の過去の採集履歴を辿ってみると、

・2019年11月16日 パンフ採集 重量16kg 身長40cm

・2019年12月22日 パンフ採集 重量7.4kg 身長18cm

・2021年2月16日  パンフ採集 未測定 身長17cm

なる記録が残っていた。

 

 これから考えると、運搬重量としては、過去の最大量(引っ越し時や古本市での段ボール詰め運搬は除く)の半分強だから、大した重さではないのかも知れない。

 むしろ、2019年11月16日に、どうやって資料を搔き集めながら歩いたのか、そっちの方が不思議に思えてくる。

 

 さて、今回のような「借り出した本の量」についてもだが、「読書量」といったものを重量で表すことは一般的にはありえない。

「今年、本を何冊読んだかねぇ」

と話すことはあっても、

「今年、本を何kg読んだかねぇ」

なんて話すことなど、まず無い。

 読書量に重量を用いることには、それほどの価値がありそうにないし、第一、本には食品のような重量表記もない。都度、計量するなんて面倒くさいことこの上ない。

 

 でも、冷静に考えると、読書量を重量で表すことはある意味合理的なのかもしれないとも思えた。16ページの薄物100冊と、160ページの本10冊は、読む手間も重量もほぼ等しいだろうから、読書量を比較する場合には、冊数よりも比較的公平な基準になるのではないか。もちろん、本のサイズや紙の質によって重量値には大きな振れが出てくることは否めないのではあるが、1冊あたりの文字数よりは、重量あたりの文字数のほうが振れ幅は少ないだろう。

 

 別に他人と読書量を比較したり競争したりする必要はないので、やはり意味などありゃしないのかも知れない。しかし、例えば年頭などに自身の目標を立てる場合には、「年間300冊」とすれば薄物でノルマを克服しようという甘い気持ちも芽生えそうだが、「年間300kg」とすればより厳格なノルマを課すことができるのではないだろうか。

 目標達成したときの達成感・充足感も大きくなるだろう。「俺の頭の中に300kgもの情報が詰め込まれたのだ」と。

 

 こんな読書の楽しみ方を行うためにも、本に重量表記がなされるようになれば良いなぁ、できれば消費カロリーとかも記されていれば面白いかもなぁ…と、妙なことを考えている穏やかな春の一日。

 

(いせきこたろう)

 

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コメント: 1
  • #1

    岡田 (金曜日, 02 4月 2021 08:13)

    紙の重さから、斤量、連量、坪量へと関心がうつり、紙の沼に浸かりそうな穏やかな春の朝です。