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語り、そして生きていく。

 いよ本プロジェクトの定例会イベントや古本市を開催していて思うことのひとつに、語ることの重要性を感じます。 常々思っていたことではあるのですが、この活動を通してより一層確信に変わり、私も持ちより本紹介でお話したことがあります。ちなみにその時の本は、『生きるとは、自分の物語を作ること』河合隼雄・小川洋子 新潮社文庫。
 生きていく上で理不尽なこと、途方にくれることもありますが、自分の中に物語が一つあることによって、人はそれを支えに生きていけるのではないか、自分の何かに立ち戻ることができるのではないかと思います。
 古本市にご参加頂いたご年配の女性が、シルバーカーに本を詰めて持って来られたことがありました。そして本を並べ、自分はシルバーカーに座って、本を手に取る方おひとりおひとりに、「この本は主人が〇〇歳の頃に買いました。この時にこんなことがありました。」と語っていました。お子さんご夫婦から本の処分を請われ、私たちの古本市に参加。結果から言うと、飛ぶように売れたわけではありません。ですが、その語るお姿が、私は今でも忘れられません。売れ残ったのだから、また違う方法で処分されるのでしょう。ただ、私はその方の思いを聴きました。その方は語りました。楽しい時間を過ごすことができたと笑顔で帰られました。
あなたもぜひ、「いよ本プロジェクト」であなたの思いを、あなたの物語を語ってください。あなたの物語を聞かせてください。