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図書館について思うこと

図書館に批判めいた言葉が寄せられることを時折耳にする。

「無料貸本屋」とか「単に本を貸し借りをする場所にすぎない」とか。「蔵書が少なすぎる」「蔵書に偏りがある」「施設が貧相すぎる」「サービスが限定的だ」とか。

 

だけど行政には行政の事情がある。行政には、MUST(しなければならない)、SHOULD(すべきだ)といった義務感に縛られることがたくさんあるわけで、それに応えるには相当の労力と時間を要するのだ。それを理解しない人々はいろいろと手厳しい言葉を投げつける。だけどそれはそれで無責任な話だ。

 

我々は行政が作ってくれたものをうまく取り込んで、それを最大限に活用すれば良いだけなのだ。

 

図書館は決して画一的なものではない。公立図書館、大学図書館、学校図書館、…。色んな図書館を巡れば、行く先々でそれなりの特徴が看て取れる。本の配架やPOP見出しなどの工夫、お話し会、読み聞かせ、リファレンスサービス…。見方を変えればいくらでも我々にインスピレーションを駆り立てる工夫や、有益なサービスが用意されているじゃないか。

 

こんな言い方をすると横柄に聞こえるかも知れないが、我々はそのサービスを知り、徹底的に使い倒すべきなのだ。そのサービスをありがたく享受するのだ。それが、図書館の皆さんに誠意を持って応えることになるのだ。お互いにとってWin-Winの関係になるのだ。

 

「無いものねだり」をするよりも、「有るものすがり」をしようじゃないか。

 

無言で入って、無言で出ていくだけじゃ勿体ない。司書と話そう。職員と話そう。

図書館を批評する前に、まずは自ら具体的な行動を起こし、図書館の本当の姿を知ろうとすることが大切なんじゃないか。まずは話をしてみなきゃ先に進まないんじゃないかと。

 

僕は最近、図書館に出入りするときにはそんなことを考え、書架から取り出した書籍を片手にカウンターへと向かっているのである。

 

                       いせきこたろう、2019/11/4