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解体される図書館

伊予市に新しい図書館がオープンして約2週間。
古い図書館は今、どうなっているのか。
駐車場にするために取り壊す予定だけど…
ふと思いついて、早朝、古い図書館を見にいってみた。

図書館は、防音シートに囲まれて、半ば解体されていた。
部屋の中に窓が見える。
あれは、事務所の窓口だ。
あそこでインターネット閲覧の受付をしたり、寄贈された雑誌を受け取ったりしていた。確かカーテンがついていて、なぜか黒の綴り紐で束ねていた。
屋上にも登った。毎年夏に開催されていた「星空観察教室」
最もうちの子供達は、まだ星を見るには幼すぎて、
星よりも近くのパチンコ屋さんや、フジの看板に嬌声をあげていた。
3階で行っていたおはなしかいの部屋は絨毯敷きで、
ねんねの赤ちゃんも、ハイハイの赤ちゃんにも安心して過ごして頂いた。
電車の音が聞こえるたびに、おはなしそっちのけで、大きな窓に駆け寄っていた
小さな小さな男の子の姿を思い出す。
彼は弟が生まれて、今はもうおにいちゃん。
新しい図書館のお話会には兄弟で来てくれた。

私はこの図書館で働いた日々を忘れない。
この古い図書館に初めて来た日、
職員として面接を受けた日、
初出勤の日、
毎日の日々、
退職を決めた日、
退職した日。

そしてそれ以外の何気ない日々。
七夕の笹を運んだ日、
利用者さんとレファレンスで一緒に花の名前を探した日、
壁と廊下を画用紙で作った魚で埋め尽くした日、
受験勉強のお礼を中学生に言われた日、
ブックトークを聞いてくれた人が訪ねてきてくれた日。

何もかもが大事な想い出。
ひとつひとつが大事な想い出。

次に通る時は、もう跡形もないのだろう。
古い伊予市立図書館、さようなら、ありがとう。